岩手県盛岡市の景観まちづくりを視察しました

2018年5月8日

“お城”を中心としたまちづくりに市民の想いを感じる

盛岡城跡公園からの景観
盛岡城跡公園からの景観
8月30日、岩手県盛岡市の景観まちづくりを視察しました
盛岡市の面積は886,47平方キロ、人口は30万人弱。品川区の面積は22,72平方キロ、人口は34万8千人。23区の総面積は621平方キロですから、面積は23区より広く、人口は品川区より5万人少ない自治体です。
宮沢賢治、石川啄木を生んだ町であり、中津川、雫石川と北上川が合流し、大きな北上川となる水の街でもあります。更に、遠くには岩手山を臨みます。
この広大な地域を①市街地景観地域、②田園・丘陵景観地域、③山地景観地域、と分けて景観形成にあたっています。

盛岡市は1986年に都市景観形成建築指導要領を作るなど早くから景観の形成について取り組んでいます。盛岡市のまちづくりの現状など市の担当者から説明を受け、盛岡城跡公園より岩手山を望む景観を案内していただきました。

この「盛岡の景観の特徴」を5つ掲げています。
●岩手山や姫神山などの周囲の山々は、自然景観と眺望景観に優れている。
●北上川や中津川などの市内を流れる河川は、潤いのある水と緑の景観に優れている。
●盛岡城跡や町屋などの歴史的な景観が継承され、城下町として落ち着きがある。
●幹線街路は、町並みに近代的な印象を与え、旧街道沿いでは城下町の名残がある。
●市民に親しまれる景観資産、樹木、まちなみ等は、「やわらかい」雰囲気を醸し出している。そして計画の目標像を「潤いと彩りのあるまちの風景づくり」として取り組んでいます。

特徴的な取り組みは、城跡公園から岩手山を臨む地域を「眺望景観保全地域」と指定し眺望を取り戻す取り組みです。また、「歴史的景観地域」を指定し、歴史的佇まいと調和した景観誘導を推進していることです。

現状は、1965年の高層ビルの建築により盛岡城跡公園から岩手山が臨めないのですが、平成21年3月に定めた「盛岡市景観条例」により、既存不適格建物として、高さを制限し、眺望を復活させる取り組みをしています。

まちなみ景観プロジェクトとしては、盛岡町家・鉈屋町界隈の保存活用事業の話をうかがいました。ここでは、既に決まっていた都市計画道路を変更して、まちなみを保存する道を選んだということです。既に決定した都市計画道路の中止は普通はない話です。これは景観条例などがない時代から、景観ガイドラインを設けて、条例によらずに市内からの岩手山の眺めを守ってきた市民だからこそできたのではないかと思いました。

街をみて、「皆で街をきれいにしよう」という取り組みが、伝わってきました。
品川区も、7月15日に「景観行政団体」となり、今まさに景観計画(案)がパブリックコメントにかかってるところです。地域に住む市民が「自分たちのまち」の姿を決めることができるという実例に触れ、おおいに参考になり励まされました。<いちかわ・かずこ>

上は盛岡城跡公園から岩手山の方向を写した写真。この日は岩手山は良く見えませんでしたが、1965年に建てられたビルにより岩手山がさえぎられています。
2009年3月に定めた「盛岡市景観条例」により、既存不適格建物として、高さを制限し、眺望を復活させる取り組みをしているので、建て替えの際に実現すると説明を聞きました。